四川大地震から1週間、レアメタル供給不安と高騰の懸念
5月12日に発生した中国・四川大地震から1週間が過ぎました。
現地に進出する日系企業では、成都にあるトヨタ自動車の四川工場がこの19日に
操業を再開し、ほぼ復旧作業を終えました。
しかし現地の被害は拡大の一途をたどっており、震源地付近で産出される
レアメタル(希少金属)の供給不安など、世界経済に与える影響への懸念が高まっています。
震源地付近は、自動車用特殊鋼の副原料となるマンガンやバナジウムなどの
レアメタルの世界的な産出地で、日本はマンガンの大半を中国からの輸入しています。
合金鉄精錬に使うシリコンマンガンの現地加工工場からの供給は、物流の混乱で
ストップしたまま。大手鉄鋼メーカーでは、調達先の見直しなど対応に追われているのが現状。
レアメタルの輸入販売大手のアルコニックスは、特殊鋼向けタングステンや
ステンレス鋼副原料のモリブデンの大半を中国に依存しています。
しかし余震などに伴う2次被害が被災地周辺に点在する調達先に及ぶ可能性も
あるところから、「徐々に影響が出てくる」と懸念しています。
供給不安から市場価格が上昇。双日によると、世界的に需要が増大している
マンガンやバナジウムは、輸出先からの提示価格で地震前に比べ10~20%程度も
値上がりしているそうです。同社では「実際の供給不足というよりも、思惑買いで
上がっている」と分析しています。
さらに日本の鉄鋼業界などが懸念しているのが、今後の復興需要に伴う資源価格の
さらなる高騰です。
中国国内の鉄鋼需要は、政府の過熱抑制策にもかかわらず、前年比10~20%の
高い伸びが続いており、国内生産量も4月には単月で過去最高の5,237万トンに達しています。
北京五輪後も内陸部の中小都市のインフラ整備で鉄鋼需要は堅調に推移すると
みられていますが、政府が復興を進めるので、生産抑制を緩和するかもしれません。
鉄鋼原料の鉄鉱石や石炭は「中国の“爆食”」(大手鉄鋼メーカー)が一因で
急騰しているので、復興需要が加われば原料高の加速は必至と思われます。